安いガス会社に変えると危険なのか(保安の仕組み)
「安い会社は、その分どこかで手を抜いているのでは」
切り替えをためらう理由として、これはよく聞きます。ガスは火を扱うものなので、当然の心配です。
結論から書くと、保安は料金とは別の話です。法律で全社に義務が課されているためです。
保安は法律上の義務です
液化石油ガス法(第27条、施行規則第36条・第37条)により、LPガス販売事業者には次が義務付けられています。
| 保安業務 | 頻度 | 内容 |
|---|---|---|
| 定期供給設備点検 | 4年に1回以上 | ボンベ・配管・調整器などのガス漏れ試験 |
| 定期消費設備調査 | 4年に1回以上 | 屋内配管・ガス器具・給排気設備の調査 |
出典:中部近畿産業保安監督部近畿支部「ガス設備法定点検について」
これは「サービス」ではなく「義務」です。 料金プランによって変わるものではなく、安い会社でも高い会社でも同じ基準が適用されます。
さらに、この保安業務は認定を受けた保安機関でなければ実施できません。販売店が自ら認定を受けているか、認定機関に委託するかのどちらかです。資格のない事業者が勝手に点検することはできない仕組みになっています。
つまり、料金の差はどこから来るのか
保安のコストは全社が負担しています。では安い会社と高い会社の差は何なのか。
プロパンガスが都市ガスより高くなりやすい理由でも触れましたが、主な要因はこちらです。
- 配送コスト(配送距離、1軒あたりの効率)
- 設備費の上乗せ(給湯器などの無償貸与分の回収)
- 単純な価格設定の違い(自由価格なので会社が決められる)
保安を削って安くしているわけではありません。 削れば法律違反になるためです。
切り替えたあと、点検は誰がするのか
新しいガス会社が引き継ぎます。 供給設備はガス会社の所有物なので、切り替えと同時に保安の責任も移ります。
「切り替えたら点検されなくなる」ということはありません。
それでも確認しておくとよいこと
法律で義務付けられているとはいえ、実際にきちんと運用されているかは会社によります。切り替え前に次を聞いておくと安心です。
- 緊急時の連絡先と受付時間(24時間対応か)
- 駆けつけにかかる時間の目安(近くに拠点があるか)
- 保安業務を自社で行うか、委託か
とくに緊急時の対応速度は、地域に拠点があるかどうかで変わります。料金だけでなく、ここも確認する価値があります。
ガス漏れ警報器は義務なのか
「設置が義務」と聞いたことがあるかもしれません。条件によって変わります。
| 住まい | 設置義務 |
|---|---|
| 一般の戸建て住宅 | 義務ではない(ただし推奨) |
| LPガスで3戸以上の集合住宅 | 義務あり |
全国一律で「必ず付けなければならない」という法律はありませんが、LPガスの集合住宅(3戸以上)では設置が義務付けられています。賃貸にお住まいで警報器が付いているのは、この規定によることが多いです。
戸建ての場合は義務ではありません。ただし、LPガスは空気より重く床付近にたまる性質があるため、漏れに気づきにくいという事情があります。義務でなくても設置しておく価値はあります。
有効期限があります
警報器には有効期限があり、一般に5年程度です。期限が切れたものは正しく検知できない可能性があります。
本体に交換期限のラベルが貼られているので、一度確認してみてください。長く住んでいる家では、期限切れのまま放置されていることがあります。
ガス漏れに気づいたときの対応
手順だけ先に書きます。
- 火を止める
- 窓と戸を大きく開ける
- ガス栓・器具栓を閉める(容器バルブも)
- ガス会社に連絡する
そして、換気扇と電気のスイッチには触らないでください。スイッチを入れるときだけでなく、切るときにも火花が出ます。窓を開けることだけに集中してください。
連絡先の調べ方、警報器が鳴ったときの対応、誤作動の見分け方は、ガス臭い・警報器が鳴った。今すぐやることに詳しくまとめています。普段のうちに一度読んでおくと、いざというときに迷いません。
まとめ
- 保安は法律上の義務で、4年に1回以上の点検が全社に課されている
- 認定を受けた保安機関でなければ実施できない
- したがって料金が安いことと安全性は別の話
- 切り替えても、保安の責任は新しい会社が引き継ぐ
- ただし緊急時の対応速度は会社によるので、事前に確認する価値がある
料金が適正かどうかの確認は、検針票があればすぐにできます。
なお、この記事は公開されている法令・公的資料をもとに整理したものです。個別の設備や契約については、契約中のガス会社にご確認ください。ガス漏れなど緊急の場合は、ただちにガス会社の緊急連絡先へご連絡ください。